10月14日 検証 ふるさと納税「下」

朝日新聞2017年10月7日9面:返礼品ない寄付拡大 「全国から多くの寄付をいただき本当にありがたい」7月の九州北部豪雨で大きな被害を受けた福岡県朝倉市の担当者は、被災直後から急増したふるさと納税の寄付に驚く。土砂災害に遭った農家も多く、7月中には特産のナシやブドウなどの返礼品は中止していたが、7月の寄付額は前年同月の6倍の1.2億円に達した。返礼品を再開した8月以降も、辞退する人が少なくないという。今年度上半期に寄せられた3億円のうち、半分の1億5千万円は返礼品なしの寄付だ。
被災地向けが急増 同様に、昨年4月に熊本地震で被災した熊本市にも、返礼品がない復興支援向けの寄付を中心に1年間で36億円が集まった。もともと、ふるさと納税は、生まれ故郷やお気に入りの自治体を応援するという理念をうたい、欧米に比べて乏しい寄付文化を定着させる狙いもあった。まだまだ返礼品目当ての寄付が主流とはいえ、返礼品競争への批判をきっかけに、当初の理念に沿った使われ方が徐々に広がりつつある。
その一つが、豪華な返礼品に頼るのではなく、自治体がお金の使い道を事前に限定し、その賛同者から寄付を募る「ガバメントクラウドファンディング」と呼ばれる手法だ。東京都文京区は7月、NPO法人と連携し、経済的に困窮する子育て家庭に食品を送る「こども宅食」の事業に充てる寄付の募集を始めた。成沢広修区長は「高額な返礼品合戦の現状に一石を投じる」と話し、返礼品なしで募った。それでも3ヵ月足らずで目標額2千万円を上回る約3千万円が集まった。
使い道限定し募集 ほかにも、廃校にはった小学校を地域の交流・観光拠点にする改修費(福島県昭和村)や、赤字経営が続くローカル鉄道を存続させるための運営費(岐阜県池田町)を募る例も出てきた。総務省も先月、ふるさと納税の好例として、全国の自治体に普及を促す大臣書簡を出して後押ししている。ただ、課題もある。
ふるさと納税を使った寄付は、自分の財布からお金を出す通常の寄付とは違い、寄付者が住む自治体に納めるはずだった税金を提供しているのと同じだ。このため、自治体が様々な団体と手を組み、寄付を募る事業の内容が公共目的からそれていくと、問題になる可能性がある。
神戸大大学院の保田隆明准教授は「ふるさと納税の原点に立ち返ろうとする動きは歓迎すべきだが、寄付の原資は税金だ。寄付を募る事業の対象をどこまで認めるのか議論するべきだ」と警鐘を鳴らす。(長崎潤一郎)

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