10月12日 人生の贈りもの 作家 浅田次郎【14】

朝日新聞2017年10月5日28面:共謀罪の法律 危険だと思う 《日本ペンクラブの活動に導いたのは井上ひさしさん、阿刀田高さんの二人だった》 作家は神秘性がないとって思っていたんだよ。川端康成が日本ペンクラブの会長をしていて、ベトナム戦争に反対するのを見て、興ざめするところがあった。でも二人から頼まれたら嫌とは言えないのでしょう。いつも二人組。そろって説得されるからさ。専務理事を頼まれた時もそう。「やらせて頂きます」って。《二人の後任として2011年からは会長も務めた》
誰かがやらなきゃいけなくて、誰もやらないなら自分がやるしかないじゃないか。果たして自分にできるかどうか分からないよ。でも人生、それが大切なことだと思う。子どもにも、みんながやりたがることはやるな。誰もやらなくて誰かがやらないといけないことは、お前がやれって。
会長の時に出した声明文をつなぎあわせてくれれば、僕がどう考えているかは分かると思います。一番は共謀罪。国家総動員法と治安維持法という大変な法律が日本をねじ曲げた時代を、何度も繰り返し別の形で小説に書いてきたので、これは危ないなと。
共謀罪を作ろうという趣旨は分かるし、そういう考えを持つ人もいると思う。色んな意見があるのは当たり前なんだけども、法律は人が死んでも生き残る。僕らや安倍さんが生きている間は、きちんと運用できると思うよ、責任もって。でも法律は死なない。後世、誰にどう利用のされ方をするのか分からない。とても危険だと思います。それは言い続けないといけない。
会長はやめましたが、後の人に影響を残すのは恥ずかしいこと。だからペンクラブにもう口は出しません。一切。そもそも、僕は井上さんと違って、ちゃらんぽらん。会議に土産なんて、ただの一度も持って行ったことがないし。何でも思いつきでやるしるしね。ラーメン食いたいと思って札幌行っちゃったとか。もちろんシンポジウムでも講演会でも、活動に協力できることはしますよ。(聞き手 高津祐典)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る