1月7日 新聞を読んで 森健

東京新聞2017年12月31日5面:読者は注視している 2017年が終わる。年の瀬を前に、なお東京新聞が続けていたのは、森友・加計問題の追及だ。加計学園の獣医学部の設置認可を巡って審査した文部科学省の大学設置・学校法人審議会。複数の委員は東京新聞の取材に対して、設置審の座長から「訴訟リスクがあると告げられ、圧力を感じた」と証言した(8日1面)。また同日の特報面は森友学園への国有地売却を巡る疑惑について、政権の答弁の無責任さを指摘。安倍晋三首相は過去の答弁で「部下を信頼するのは当然のこと。私が調べて『適切だ』と申し上げたことはない」と発言。「上司」が逃げたことを問題視した。
特別国会閉会後、森友学園の建設予定地から撤去したごみが算定の百分の一だったことが判明。すると、待っていたかのように財務・国土交通両省が値引きの根拠について口裏合わせを求めていたことも音声データを基に明らかにした(20日1,7、27面)。ただし、いくら報道が事実を迫っても認めてこなかったのが安倍政権だ。追及の虚しさについて、同日特報面は哲学者の中島義道氏に尋ね「どちらにもこれっぽっちも『真実』はない」と記者の困惑を代弁するかのような言葉を引き出している。第二次安倍政権発足から5年を振り返る記事では、選挙では票を得やすい「経済」を訴えつつ、終われば特定秘密保護法や安全保障関連法など「安倍カラー」を推進してきたことを分析(26日2面)・同日特報面もその手法を時系列で示しながら「対決」してきた経緯を紹介した。
一方で、2015年元旦から始まった「平和の俳句」では3年間で13万余りの投句があったという。25日の7面では、4人の常連投句者に思いをうかがうとともに、選者のいとうせいこう氏が3年間を振り返った。<一つの社会的な抑圧があったときに人々が俳句を通して抵抗したという、ある意味ユーモラスで大事な3年間>
この前向きな空気感が風通しをよくしていたのだろう。今年は明るい出来事もあった。ノーベル平和賞を受賞したは核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)。授賞式で被爆者のサーロー節子さんが「核兵器は必要悪ではなく絶対悪」と演説(11日夕刊1,2面)。社会面は広島や長崎からの「世界は私たちのことを忘れていない」という声も伝えた。13日、広島高裁は伊方原原発3号機の運転差し止めを決定。19日の特報面は地元の賛否を取材し「涙が出るほどうれしい」という声を紹介。希望がなくなったわけではないのだ。
新年になれば、改憲議論が始まる。東京新聞がどう議論し、どう報じるか、読者は注視している。(ジャーナリスト)
*この批評は最終版を基にしています。

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