1月7日 平成とは 台湾「1」

朝日新聞2019年1月4日夕刊6面:李登輝と民主化の歩み 台湾では昨年11月に統一地方選挙があった。台北や高雄などの直轄市、一般の県や市の首長や議員、さらに里長と呼ばれる町内会長の選挙が台湾全土で投票された。2020年の総統選の前哨戦といわれた。与党民進党が野党国民党に惨敗した。しかし、かつてのような民衆同士の暴力的な衝突はなかく、結果は冷静に受けとめられたていた。こんな風に民主化を台湾に根づかせた政治家に久しぶりに会い、話しを聴きたかった。
1月15日に96歳になる元総統、李登輝。日本からの訪問者に台北で講演するというので、私は地方選に合わせて出張した。しかし当日になって、日本人秘書から中止の連絡を受けた。高齢で無理はできない、ということだった。李は1923年に日本統治下の台湾北部淡水で生まれた。旧制台北高校から京都帝大農学部に進んだ「日本語世代」。囲碁を愛し、県道は有段者だ。
中国大陸で共産党との内戦に敗れ、台湾に逃れた国民党は、独裁下で民主化や自由を求める住民を弾圧した。とりわけ日本の影響を残しかねない李のような台湾生まれの知識人を信頼しなかった。李は戦後、2度の米国留学を経て、農業経済学者から政治の世界に転じた。国民党からは警戒されたが、後に総統になる蔣経国に実力を認められ、昇進を重ねた。蒋が88年に死去した後、台湾出身初の総統に選ばれた。
まだ民主主義とは遠い体制だった。李は「民主化こそが台湾の存在価値」と、国会にあたる立法院と総統の直接選挙を実現。自身が96年、初の直接選に当選して民主化を新たな段階に高めた。総統就任直前、朝日新聞との単独会見が実現した。日本語で1時間15分。同席した私は、会見の記録に追われた。「民主化を発展させることが、米国や日本との関係の発展につながる」と語ったことが記憶に鮮明だ。李は、訪日を望んでいた。=敬称略 (藤原秀人)

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