1月4日 平成とは 8050危機

朝日新聞2017年12月30日1面:ひきこもる子は47歳。このままでは共倒れ 平成とは、家族の姿が静かに、だが劇的に変わった時代だった。ひきこもる中高年の子どもを支え、老後を迎えても保護者の役割からおりれない。いま、そんな高齢の親たちが増えている。人生100年時代の新たな家族危機だ。
その86歳の男性は、補聴器をつけて最前列で熱心にメモをとっていた。元高校教論。10月に東京都内で開かれたKHJ全国ひきこもり家族会連合会の全国大会に、福岡県から泊まりがけで参加していた。長男は47歳。ひきこもりはバブル経済さなかの1989(平成元)年から続き、29年目になる。「あと3~4年の命でしょうが、ひきこもりの解決を考えることが使命。でみるだけのことをしてあの世にいこうと思っています」
深刻さを増すひきこもりの長期・高年齢化。長男が心に変調をきたしたのは大学受験がきっかけだ。第1志望の国立大に不合格となり、不本意ながら別の大学に進んだものの、すぐ実家に戻った。以来、バブルの崩壊やIT社会の到来、大震災など、世の中が揺れ動くなか、社会との接点をほとんど持たずに生きた。アルバイトも続かなかった。男性の退職金も底をつき、「このままでは親子とも破綻する」と思い詰めた。意を決し、4年前、息子を残し賃貸の高齢者住宅に妻(82)と転居。今夏から息子は1人で生活保護を受けて暮らす。
気をもむのは生活保護切り下げのニュースだ。「40代後半で経験もなければ企業も雇うはずがない。生活保護を打ち切られたら本当に行き場がない」まじめで高校の成績はトップクラスだった。「産んでくれてありがとう」。去年の父の日に届いたはがきを幾度も読み返す。高齢者がいる世帯で「親と未婚の子のみ」世帯が、昭和の多数派だった「3世代」世帯の比率を上回ったのは2009(平成21)年。生涯未婚率の上昇、雇用の不安定化など、平成に生じた問題が背景に折り重なる。
「親がいなくなったら、どないなるんやろう」。京都府の80歳女性はうつむく。40代半ばの息子と2人暮らし。30歳を超えてからほぼ自宅にこもる。「僕をホームレスにするんか」「親やったら助けてくれ」・息子の言葉に追い詰められる。女性は「市民の会エスポワール京都」(京都府)の交流会で苦悩を打ち明けた。「わたしらのような人がたくさんおるんやなと思って、少し救われました」。同会は40~50代のひきこもりの子と家族を支援するため今春から活動を始めた。代表の山田孝明は「家族だけの問題ではなく社会問題だ」と話す。参加者は約104人に達した。60代から80代の親たちだ。
「老老」でも「独居」でもない親子の深い孤立。80代の親と50代の子の世帯の困難という意味で「8050(はちまるごーまる)問題」と呼ばれる。(敬称略)

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