1月3日 オトナになった女子たちへ 伊藤理佐

朝日新聞2017年12月29日22面:ひさしぶりのチューブは 「えっと、チューブのいちばん小さいヤツください」と言うのが、わたしのオロナインH軟膏の買い方だ。ひさしぶりに買う。カバンに入れて持ち歩きするからチューブ派。万能・・・とは思っていないんだけど、なにかと頼ってしまう。
最近はムスメによく使う。洗面所にも1チューブあると便利なので、買い足すことにした。ヨシダサンも持ち歩いているので、吉田家、現在3チューブ目となるH軟膏である。小さな茶色い箱が好き。しかし、薬局の人が出した箱が大きい気がした。「いちばん小さいヤツ・・」ですか? と確認すると「いちばん小さいサイズです」と、自信を持っている。こういうとき、たいていわたしが間違っているので、言うことを聞いて買って帰る。家で開けると、なんかちょっとやっぱでかい。や、やられた~ と唸りながら、ん? 今までと違う。手触りが。温度も。「ああっ、変わった!」
チューブの素材が、金属のグニッとした冷たい感じじゃなくなって、プラスチックのやわらかいプニッとした温かい感じになっちゃっているのだ。「うへーーっ」新旧、並べてみた。素材の関係か、新は2センチくらい背が伸びた。表記をみると10グラムが11グラムに。(変わってごめんなさい、1グラムサービスです)って、言っている気がした。気づくと、「さ、さみしい」と、つぶやいていた。今まで気づかなかったけど、金属のグニッとした手触りが好きだったようだ、自分。タイガーバームをみたときに「これはきっと外国のオロナインH軟膏だな」と思った小学生の頃がよみがえる。デザインでそう感じたのだ。触っているだけでどんどん出てきちゃうあの感じも思い出してみる。使い初めにフタの裏のとがったので初穴をあける喜びも・・。
ん?それ、オロナインの思い出だろうか。今となってはすべてが自分の頭の中。便利くさい新チューブは、使うとやっぱり便利だった。便利でさみしい。そんな年頃なんだろう、と思う。(漫画家)

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