1月29日 平成とは 金融危機「3」

朝日新聞2019年1月23日夕刊8面:「小さな1回」連鎖呼ぶ 経営難にあった三洋証券は資金繰りが行き詰まり、ついに観念した。金融機関同士がお金を貸し借りするコール市場でも数十億円が返せず、ここで初めてのデフォルト(債務不履行)となった。その後続いた千億円単位、兆円単位の巨大金融破綻と比べれば、まだまだささいな損失だ。とはいえいれは最初のアリの一穴だった。このときの私に、そんな歴史的な意味はわからない。ただ、とにかく市場や日銀がひどくおびえることなら、翌日の朝刊1面に載せるべきだろうと考えた。本社にファクスで出稿予定を送ると、すぐ当番デスクから日銀記者クラブに電話がかかってきた。
「1面に載せるほどのネタか」「市場関係者が強い関心をもっているニュースです」「プロの世界の話だろ?」「ええ、まあそうですが・・」倒産は1面トップだが、デフォルトの記事は経済面の中ほどに。まあ仕方がない。一般の読者には専門的すぎる。それに最後は日銀がうまく収めて大事に至らないだろう。そう高をくくっていた。「初のデフォルト」は朝日のほか日本経済新聞が地味な記事を載せただけ。他紙は書いてもいない。やはりプロの市場の話か。
連休明けの市場は表面的に穏やかだったが、静かに貸し渋りが始まっていた。その金融機関も不良債権の実態は公表数字よりずっとひどく、よその財務内容も信用できず貸せなくなった。ついに恐れていた「信用収縮」が始まった。三洋の倒産から14日後、都市銀行の北海道拓殖銀行が破綻。「大手20行はつぶさない」と宣言していた大蔵大臣・三塚博の公約はあっさり破棄された。さらに1週間後、山一証券も。記者会見で社長の野沢正平が涙ながらに訴えた。「社員は悪くありませんから」コール市場でたった1回のデフォルトが日本経済を破綻の淵まで追い込むとは、想像もできていなかった。 =敬称略(編集委員・原真人)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る