1月28日 私の東京物語 安藤優子10

東京新聞2018年1月19日28面:雑多の魅力 昭和33(1958)年生まれの私は、昭和世代ど真ん中だと思う。東京オリンピックに新幹線の開通、そして大阪博と、日本がぐんぐん成長するのと一緒に大きくなってきた。小さいころの家はもちろん木造家屋で、暖房だって炬燵と石油ストーブのみ、トイレに行くには冷えきった廊下を歩かなくてはならなかった。リビングの中心にあるテレビにはゴブラン織りのカバーがかかてあり、そのカバーがめくられて放送が始まるとアメリカのホームドラマが流れてくる。
そこには真冬でも半袖のワンピースを着て、家のなかにハイヒールを履く美しいママが出てくる。震えてトイレに行くのとは大違いだ。アメリカの大きな家、芝生の庭などなどに憧れ、私はいつかアメリカに行って、あのような優雅な暮らしをしてみたいと心から願った。そして念願の留学を果たして帰国後、ようやく日本の、東京の街の味わいが理解できるようになった。
アメリカの、特に私がいたような田舎の街はどこもだいたい同じ風情なのだ。もっといえば、きれい過ぎるのかもしれない。私は東京の混沌とした、雑多なエネルギーが好きだ。街が安全なのはとてもいいことだけど、いたずらにきれい過ぎるのもな‥と思っている。今外国人観光客が有楽町のガード下に押し寄せている理由もそこにあるのではないだろうか。雑多は多様なのだと思う。(ニュースキャスター)

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