1月24日 2018年大学に試練

朝日新聞2018年1月16日2面:18歳人口再び減少期に 「進学者異常に減る」将来、都会も 2018年は多くの大学関係者が「日本の高等教育の転機になる1年」と受け止めている。10年ほど横ばいだった18歳人口が再び減少期に入り、文部科学省の中央教育審議会など、政府の有識者から大学改革への提言が続くためだ。「大学令」が公布されて、私立大学などの設立が認められてから100年。13,14日に大学入試センター試験が行われ、激動の年の入試シーズンが始まった。
「大陸棚から日本海溝に落ちるようだ」日本私立大学協会(私大協)の小出秀文事務局長は、今年から始まる18歳人口の減少をこのように表現する。18歳人口は1992年の205万人を境に減少に転じたが、この10年ほどは120万人程度で横ばいが続いてきた。しかし、今年からは再び減少を始め、2028年には107万人、36年には91万人になると推計されている。
大学笛増え定員割れ 人口減とは逆に、大学数は私立大を中心に増加を重ねてきた。90年は507校だったが、17年は780校。現在でも学生が足りず、私大の4割が定員割れを起こしている。そんななか、18歳人口がさらに減ると、対応できない大学も出てくるではないかー。私大の間で「2018年問題」という言葉も生まれるほど、危機感が広がる。日本私立学校振興・共済事業団によると、17年度に定員割れした私大の9割は、入学定員400人未満の小規模大学で、特に地方で多い。
私大理事の津曲貞利・鹿児島国際大学長は「地方を活性化する人材は、地方で生まれる」と強調する。同大は学生に海外インターンシップを経験させ、県内の自治体と連携するなど魅力ある教育を目指している。ただ、鹿児島県は高卒でも就職で県外に出る人が多く、「大卒者が就職したい企業が少ない」のが悩み。「企業や行政を含めた改革」が必要という。
人口減は今後、都市部の大規模大も直撃する。神奈川大が40年ごろまでの学生数をシュミレーションした結果、「かなり厳しい結果」(兼子良夫学長)だった。「努力はするが、大学進学者が異常に減る。努力の関数を超えるものがある」と兼子氏は語る。
補助金 私大の苦悩 人口減は既に、経営に影響を与えている。私大は学生数などに応じて平均で運営費の1割弱が補助金として国から支出され、年間で約3千億円に上る。財務省は昨年末、このお金が経営困難な私大を救済しているとして、定員割れしている私大への補助金分配を見直すよう、文科省に求めた。
一方、文科省は小規模大学への影響を考慮し、定員を超過する大規模私大に厳しい。現在は入学者が定員の110%を超えると補助金がゼロになるため、各大学は定員管理の厳格化を求められている。ただ、入学者が定員と会うように合格者を出すのは大学にとって至難の業。10万人以上が志望する都内の私大入試担当者は「併願大学を増やす受験生が多くなり、入学する学生数が読めなくなってきた」と頭を抱えた。
大学統合や公立化関心高まる 18歳人口の減少をめぐる大学の不安は、朝日新聞と河合塾が昨年実施した共同調査「ひらく日本の大学」にも表れた。一つは大学間統合への私大の関心の高さだ。統合を「具体的に検討している」のは既に18年度の統合を発表した北海道科学大(札幌市)と北海道薬科大(同)だけだったが、72校が「興味がある」と答え、回答した500私大の14%にのぼった。「興味がある」大学は、地方大学や小規模大学が多かった。調査では「少子化は避けられない」「統合は経営の安定化に寄与する」「地域に必須な人材を養成しているが、小規模校で運営が難しい」などの理由が挙がった。
公立大への移行にも関心が寄せられた。私大は公立化すれば、安定したイメージを出せるうえ、運営費の一部が国から配分され、授業料を引き下げられるなどのメリットがある。「具体的に検討している」と答えたのは、18年度に移行する諏訪東京理科大(長野県茅野市)など4校で、「興味がある」は49校だった。
(増谷文生、杉原里美、片山健志)

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