1月24日 私の東京物語 安藤優子

東京新聞2018年1月16日30面:下北の市場 親元を離れて一人暮らしを始めたのは、世田谷区代沢だった。理由は下北沢に歩いて行けるからと、京王井の頭線の池ノ上が最寄りの駅だったからだ。井の頭線は駅と駅の間がすごく短くて、なんだかローカル線に乗っているような感じが好きで、済むなら井の頭線沿いと決めていた。そして下北沢。今では駅前は再開発されて、いつまでたっても開かない「開かずの踏切」も無くなった。ごくたまに通ると、ずいぶんときれいになったなあ思う。でも、狭い道いっぱいに人が歩いていて、車がそこを無理やり通っていく様は以前のまま。町にとって私が欠かせない要素だと思っている「雑多」なにぎわいも健在だ。そんな下北の「雑多」感の象徴のような市場が昨秋、姿を消した。市場といっても、屋根つきのアーケード商店街もような構造で、ごく狭い通路がくねくねと曲がり、その両側に貝屋さん、乾物屋さん、帽子屋さん、手芸用品店、魚屋さん、八百屋さん、花屋さんなどなど、様々な専門店がぎゅっと肩を寄せ合うように軒を連ねていた。
私はここで買い物をすのが大・大・大好きで、とりわけ威勢のいいおばちゃんがいた貝屋さんで旬の貝を、愛想抜群のおばちゃんの乾物屋さんで珍味を買い込んで、鼻歌まじりに代沢の家に帰った。そしてもちろん家呑み。目利きのおばちゃんたちの鮮度抜群の味が忘れられない。(ニュースキャスター)

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