1月24日 社説 余滴 坪井ゆづる

朝日新聞2019年1月18日16面:「1月20日」がめぐりくる 1年前にも、こう書いた。「1月20日は安倍首相にとって忘れがたい日のはずだ」国会では、すっかりごぶさたの家計学園問題である。真相解明どころか、疑念がいっそう深まったまま、ほったらかしにされている。2017年1月20日に、国家戦略特区での獣医学部新設計画が認可された。その当日に首相は初めて「腹心の友」の事業だと知った、という。首相が国会でそう語ったのは17年夏。「総理のご意向」「総理は自分の口からは言えないから私が代わって言う」といった「忖度」報道のさなか、それまでの「(15年6月の)申請段階で承知」という答弁を唐突に修正した。
認可の日まで何も知らなかった。だから忖度などあり得ない、というわけだ。しかし、この論法は昨年春に根底から揺らいだ。まず、首相秘書官が15年4月に「本件は、首相案件」と述べていた、という文章が愛媛県から出てきた。続いて、15年2月には首相が加計孝太郎理事長に会い、「獣医学部の考えはいいね」とコメントしたとする文章も国会に提出された。計画の申請前から首相官邸内で秘書官がかかわり、首相も知っていたのだ。
そう追及された首相は加計氏との面談を否定した。だが「入邸記録が破棄され確認できない」では説得力がない。もしも、首相の「いいね」が虚偽なら、学園が「首相のお友だち」の立場を悪用したのは明らか。90億円余りの公金が投入された事業に、首相がまんまと利用されたわけだ。この件は昨秋、日本記者クラブでの自民党総裁選の討論会で直接、私から首相に問うた。「政治利用されたことを抗議すべきだ」と。首相は「すでに学生が学んでいる」などと、論評を避けた。その対応を見て思った。お友だちの事業の選定について、首相は説明しないのではない。もはや合理的な説明ができないのだ、と。
同じ討論会で首相は森友・加計問題を「私が政治的に便宣を図ったという贈収賄責任はないから、もういいだろうという本音が見えた。でも、問われているのは、首相がウソをついたのか、政治責任を果たしているのか、行政の公平性は保たれているのかどうかなのだ。自分に不都合な記録を、首相がなおも記憶や強弁で封じようとする限り、幕は引けない。(夕刊「素粒子」担当)

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