1月24日 平成とは 台湾「10」完

朝日新聞2019年1月18日夕刊14面:知らなさぎる日本人 年明け早々の今月2日、中国国家主席の習近平が台湾統治に向けた方針について演説した。鄧小平時代に「台湾同胞に告げる書」が発表されて40年の式典だった。「台湾は中国の一部だ。中華民族が偉大な復興に向かう過程で台湾同胞は欠かせない」とし、台湾の現状を尊重し、実利を強調する「ソフト路線」を打ち出した。その一方、「中国人は中国人をたたかない」としつつも海外からの干渉を警戒し、「武力の仕様は放棄しない」と語った。独立を志向する民進党の台湾総統、蔡英文は中国の人権状況などに言及し、「台湾人民は高度の疑義を感じている」と反発した。
平成の30年を台湾にあてはめれば、李登輝が進めた民主化のもと民進党の陳水扁、中国重視の国民党・馬英九、そして現在の蔡と総統ポストは両党を行き来した。昨秋の統一地方選は民進党が惨敗した。現地取材した私はその理由を聞いて回った。貿易や観光業界の経営者は「中国に背を向ける蔡のもとでは大陸ビジネスがうまくいかない」と口をそろえた。中国が思い描く統一は拒むが、うまくつきあってはいく。外交的に孤立させられても、したたかさを失わない。それが台湾だ。私は、日中平和友好条約で沸き立った1970年代にアジアの政治を学んで朝日新聞の記者になった。外報部に移ってからの四半世紀余り、東アジアを見てきた。
良きにつけ、あしきにつけ常に話題になる中国と比べて、台湾についてはどうだろう。戦後、「中華民国」の蒋介石は日本に賠償を求めなかった。台湾を歩き、市民と話せば、日本への好感が伝わってくる。東日本大震災の後には、「東北を助けよう」と来日した観光客を東北の温泉地で数多く見かけた。「日本人は台湾を知らなすぎる」。かつてインタビューで李登輝に言われた言葉をいま、痛感する。 =敬称略 (藤原秀人)

 

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