1月22日 平成とは 台湾「9」

朝日新聞2019年1月17日夕刊12面:「同窓会外交」緊張招く 中国と台湾の関係はアジア太平洋の安全保障に直結している。そんな観点で、ずっと取材を続けてきた。1995年の李登輝の訪米に始まる東アジアの緊張が「原体験」だ。現職の台湾総統へのビザ発給に米クリントン政権は慎重だったが、李が進めた民主化を評価した米議会に押し切られた。李を米国に追った。李が講演したのは、森と湖に包まれたニューヨーク州イサカという街にある名門コーネル大だった。ここで博士号をとった李は、4千人の同窓生を前に台湾の民主化を誇り、国際社会で地位を得られぬ不満を訴えた。中国の国家主席、江沢民との直接対話も呼びかけた。
「台湾の、中華民国」「台湾の、中華民国」と何度も何度も力を込めた。わつぃはアイスホッケー場に設けられたプレスセンターで「『同窓会外交』狙い通り」との原稿を書いた。米国在住の先輩記者が「えらいことになるぞ」と電話してきた。李の訪米そのもに反対だった中国は黙っていなかった。翌年あった台湾総統の直接選挙まで、台湾を威嚇するミサイル演習を繰り返した。台湾の後ろに米国や日本がいるとみなしての牽制でもあった。米国は空母を派遣した。
台湾で取材していた私は、正直、「怖い」と感じていた。平成になる直前の88年、李が総統になって民主化が進んだ台湾に対し、中国では89年に天安門事件があった。共産党の独裁体制のもと民主化運動への抑圧を続けながら、国の巨大化が加速した。国内総生産(GDP)は2010年に日本を抜いて米国の背中も視野に入れる。軍備では空母を自国で建造し、宇宙開発では「月の裏側」に無人探査機を着陸させた。現代版シルクロード「一帯一路」構想で欧州にも手を伸ばし、開発や支援をテコにアフリカや太平洋諸国を味方にする。いまやだれしもが言う。「手にしていないのは台湾だけだ」 (藤原秀人)

 

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る