1月20日てんでんこ 伝える「7」阪神断震災

朝日新聞2019年1月16日3面:「市民による市民のための放送」。大阪の経験は遠く東北にも受け継がれた。 岩手県一関市生まれで、地元のFMあすもで放送局長を務める塩釜一常(40)は、ラジオっ子だった。1995年1月17日、高校生だった塩釜は阪神大震災の惨状を伝えるラジオに、遠く東北の地から耳を澄ませた。東京のアナウンサー要請専門学校に進み、夏休みに大阪のコミュニティーFMを回った。大阪府守口市のFM-HANAKOもその一つだ。
「市民自ら情報を収集し、発信、共有する。パーソナリティーはサポート役」。そんな考え方を聴き、「勉強のつもりで来ないか」という誘いに乗って卒業後に就職した。今は局長を務める吉岡典昭(51)らに、一から学んだ。開局と同時に入社した吉岡は、朝当番の日に阪神大震災に見舞われた。スタジオに一番乗りしたが、何を放送していいのかわからない。とにかく緊急放送のスイッチを入れ、自らマイクを握った。「大きな地震ががありました。情報が入り次第、お伝えします」市から情報がもたらされると考えていた。だが、市役所とは電話が通じない。頼みの綱はテレビだが、「~らしい」としか流せない。余震のたびにパーソナリティーが悲鳴をあげた。
FM-HANAKOの開局は93年。国内2番目、西日本で初のコミュニティーFMだ。防災を目的の一つとしていたのに、阪神大震災では使いこなせなかった。反省に立ち、マニュアル作りを急いだ。何かあったときには専用線でつないだ消防署から緊急放送するシステムを、自分たちで作りあげた。今でいう「割り込み放送」だ。昨年9月、関西を強烈な雨風が襲った台風21号では災害情報を流し続けた。リスナーからの停電情報を伝えると、次々にメールが届いた。「リスナーから情報が寄せられなかったら、放送局の意味がない」と吉岡は言う。「おはようございます。昭和ガールズで~す」・女性3人の明るい声がスタジオに響く。開局まもなくから続く看板番組「全員集合! 井戸端会議」だ。普通の女性が普通の感覚で語り合う。笑い声も絶えない。「市民により市民のための放送」。吉岡の思いは、東北でコミュニティーFMを率いる塩釜に受け継がれている。 (佐々木達也)

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