1月20日 平成とは 台湾「7」

朝日新聞2019年1月15日夕刊10面:香港返還、北京の視線 その夜は滝のような雨だった。1997年6月30日から翌日にかけてのことだ。香港返還。アヘン戦争を経て清朝から英国に割譲された香港を、中国が150年ぶりに取り戻した。台湾も担当する香港支局員を務めた後、北京に赴任した私は、取材班に加わり出張していた。時間をみつけて街を歩き、香港はどうなるのだろうと考えた。傘が役に立たず、下着まで雨が染みた。取材拠点のプレスセンターに戻った。香港紙の記者は「共産党独裁の中国に返りたくなくて、香港が号泣しているのだ」と話した。中国の国旗「五星紅旗」を掲げた人民解放軍の列車が広東省深圳から香港に入った。深夜に始まった返還式典で、国家主席の江沢民は「香港の繁栄のため、一国二制度は変えない」と宣言した。
中国になった香港。私は、7月1日付の夕刊1面に香港支局の同僚と連名で記事を書き、式典後の祝賀会での江の発言を紹介した。「一国二制度は、次はマカオで実施され、将来は台湾にも適用されるだろう」 私は、香港のゆくえとともに、「中国は、台湾政策をどう進めるんだろう」と考えた。「一国二制度」。香港で資本主義を維持し、大陸では社会主義を続ける。改革開放路線を進めた鄧小平が強く唱えた制度だが、もともとは台湾統一を想定したものだった。
江は北京に戻り、台湾統一を「すべての中華民族の共通の願いだ」と指摘し、呼びかけた。「台湾当局は民族の大義に重きを置き、一つの中国の立場に戻れ」 台湾統一は中国の国是だ。だが台湾の人たちと話すと、たいていは「不」の返事がかえってくる。「現状維持でいい」と。北京で知り合った中国共産党の幹部からは「統一は難しいが、やるんだ」と繰り返し聞かされていた。中国は武力行使も辞さないつもりなのかもしれない。現実にそうなるかどうかは別にして、そんな考えが頭をよぎった。 (藤原秀人)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る