1月16日てんでんこ 伝える「4」女川

朝日新聞2019年1月11日3面:「大事なのは情報の正確さだ」。東日本大震災の臨時災害局の経験が教える。 北海道室蘭市にあるコミュニティーFM「FMびゅー」のスタジオは、太平洋から約1㌔離れたビルの2階にある。地震が襲った昨年9月6日。社長の沼田勇也(42)は気象庁の情報で津波が来ないのを確かめると、LINEで7人のスタッフに呼びかけた。「会社行ける人いますか」。地震発生から3分後の午前3時10分だ。室蘭と隣の登別の市役所に各1人、地方気象台にも1人を向かわせ、発生から29分後に放送を始めた。スタッフからLINEで届く停電などの情報を、妻でパーソナリティーの康子(35)がスマホを身ながら読んだ。
沼田は以前、地元製鉄所の関連会社にいた。コンビニに貼ってあった「室蘭にもコミュニティーFMを」という市民団体の案内を見て転身。開局3年目の2011年3月に東日本大震災が起き、沿岸部の被災地に次々と開設された臨時災害FMの支援に入った。当時訪れた局の一つが、827人が犠牲になった宮城県女川町にできた「女川さいがいFM」だ。「大事なのは落ち着いて放送することと情報の正確さ」。スタッフの大嶋智博(45)からそう聞いたのを覚えている。
5年続いた女川FMの取り組みは、NHKのテレビドラマのモデルにもなり脚光を浴びた一方で、失敗もあった。「知人の床屋が『髪を切って欲しい人は電話して』と言っているからラジオで流してあげて」。だが、電話番号が違っていた。県外の相手先に間違い電話が相次いだ。毎朝伝えていた臨時バスの運行時間を聴いた町民が「いくら待っても来ない」とスタジオに苦情を言いに来たことも。ダイヤ変更されていたのに気づかなかった。自分の目で確かめられる情報は、確かめたうえで流そうー。女川FMで徹底するようにした放送方針を沼田も踏襲している。
地震後に緊急放送を続けた北海道恵庭市のコミュニティーFM「e-niwa」の編集プロデューサー、三浦真吾(39)も東日本大震災後、女川FMを訪れた。「不用な小型ラジオ、ありませんか」と地元のリスナーに募って集まった200台を車で被災地の各局に運び、うち20代を渡した相手が大嶋だった。それから7年半。震度6強に見舞われ、1人が死亡、250人余りがけがをした道内のむかわ町で2人は再会する。(岡本進)

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