1月16日 私の東京物語 安藤優子3

東京新聞2018年1月10日28面:ドキドキおどおど銀座 浅草を日本一の繁華街と信じていた私にとって、銀座は高級感が漂うお洒落な大人の街というイメージで、だから銀座に行くときは、ワクワクというよりはドキドキして緊張した。小学6年生のときに仲良しの女の子と二人きりで映画を見に銀座に行った。二人とも親にはもっと近いところに行くとウソをついていたように記憶している。貯めたお小遣いのかぎりを握りしめ、銀座にふさわしい(と思われた)ワンピースを着て、精一杯の勇気をふりしぼっての冒険である。
見るはずだった映画は10代の恋愛を描いた、けっこうきわどい描写がある話題作だった。このあたりから女子二人にはおのずと「おどおど感」がぷんぷんと漂っていたかと思われる。銀座、ちょっときわどい映画、親に内緒、と条件はほぼ満点にそろっている。おどおどしないほうが、どうかしている。
そんな女子二人はあっという間にカモと化した。映画のチケットを買おうとして並んでいたら、スーツ姿のお兄さんが近づいてきて「この会員になると、もっと安く映画のチケットを買えるよ」と言ううちに「会費」なるものを払わされ、気がつけば帰りの電車代しかないという窮地に陥った。銀座での背伸びした冒険は、キャッチセールスによってあえなく幕となった。見るはずだった映画も見られず、泣きながら帰った。(ニュースキャスター)

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