1月14日 平成とは 台湾「4」

朝日新聞2019年1月9日夕刊6面:「現実外交」を追いかけ 台湾は1972年、中国と関係を正常化した日本と断交した。79年には米国とも関係を断った。中南米やアフリカなどの国とは関係を保ち続けたものの、国際的な孤立感は深まった。そんな厳しい環境のなかで、総統の李登輝は、外交関係がない、あるいは中国と国交を結んでいる諸国と、実務関係を深める「現実外交」に踏み込んだ。メンツを保つことよりも、市場や投資先を拡大させることが経済発展に欠かせない、と判断しらからだ。
李は89年3月、中国との国交を目前にしたシンガポールを訪問した。この時、首相のリー・クアンユーは歓迎会で「中華民国」という言葉を使わず、「台湾から来た総統」と紹介した。中国への配慮だったのだろう。李は「不満だが受け入れる」と述べた。
続いて94年2月、李は東南アジアを歴訪する。中国と国交がある国ばかりを始めて選んだ。フィリピン、インドネシア、タイ。李の訪問を受け入れないよう、中国が圧力をかける可能性を考えて、事前に歴訪は発表されなかった。私が知ったのはバンコク出張のさなかだった。インドネシアのバリ島に李が滞在しているとの報道が流れた。予定外のバリ島に急行した。中台関係が緊張しかねないだけでなく、東南アジアと中国の関係が悪化する恐れがあった。
バリ島に着いたものの、取材は要領をえない。台湾から追いかけてきた台湾紙の記者から、こっそりと日程表を見せてもらった。フィリピン、インドネシアで首脳との会談が実現した。現場を見たわけではないが、外交筋から確認が取れた。台湾企業のビジネス上の契約につながった。中国は李を迎えた国に強く抗議したものの、李がまざした「メンツより実質」は果たされたと感じた。私は日本に戻る途中、台湾に立ち寄った。東京で知り合った外交官から「ぜひ会ったら」と紹介された、一人の老人に会うためだった。(藤原秀人)

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