1月12日 平成とは 台湾「3」

朝日新聞2019年1月8日夕刊8面:賛否のなか、ビザ発給 社説の骨格を事実上つくる、担当の論説委員には、詳しいプレゼンテーションが求められる。台湾の元総統・李登輝が治療目的で査証(ビザ)を求めた件で、私が連想したことがあった。1999年9月、台湾大地震で日本政府がとった対応だ。外国で大災害が発生したら、政府は発生国の依頼で国際協力機構を通じて緊急援助派遣隊などの支援をしてきた。外交関係がない台湾には、国連機関からの要請を受けるかたちで初めて援助隊を送り出した。人道性が高かったからだ。社説のプレゼンで私は「人道問題を政治と結びつけ過ぎるのは問題ではないか」と話した。激しい議論の末に書いた社説の見出しは「政治活動では困るが 李氏への査証」だった。李の訪日は相当のポストを離れた民間人として。かつ、治療が目的だ。「入国管理の基準上、問題がまければ、ビザ発給が自然だ」という内容だった。当時の自民党政権でも意見は割れていた。ほかの全国紙に続く朝日新聞の社説。ある閣僚は記者団に「世論は定まった」と語った。対中関係を重視する外務省幹部からは、社内の後輩を通じて「エラいことを書いてくれた」と批判が来た。
一方、「省内でも、ビザを出すべきだという声が3割くらいあった」との電話も受けた。社説が載ったのは2001年4月12日。翌日になって中国大使館から館員が講義に来社した。中国の度重なるビザ発給反対の態度を無視して、という趣旨だった。李の動向、日本政府の対応に、中国は神経をとがらせていた。ビザ発給が決まると中国は、序列2位の全国人民代表大会常務委員長、李鵬の訪日延期を決めた。
李登輝の日本滞在は4月22日から5日間。治療以外は目的外とされ、母校の京大に近い大阪城を妻の曽文恵と訪れ、天守閣から京都の方に向かって手を合わせた。同行者からそう聞いたが、なんとも返事ができなかった。(藤原秀人)

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