8月6日 ありがとう夏100回これからも

朝日新聞2018年8月1日18面:仲間と一緒だったから この夏、100回の記念大会を迎える、全国高校野球選手権。7月21日、「感謝祭~ありがとう 夏100回 これからも~」(日本高校野球連盟、朝日新聞社主催)が大阪市内であった。甲子園を沸かせた牛島和彦さん(大阪・浪商=現大体大浪商)、金村義明さん(兵庫・報徳学園)、佐々木主浩さん(宮城・東北)が、高校野球の魅力や、甲子園での思い出を語った。
ー甲子園の印象は 牛島 夏はなかなか出られなくて。出たときは「やった!」という思い。 金村 僕は兵庫県宝塚市で生まれた。隣が(甲子園のある)西宮市。プロ野球よりもほうとく学園に憧れた。夏は出ただけで本当にうれしかった。 佐々木 生まれも育ちも仙台なので、2年の夏に甲子園に来たときは暑さにびっくりした。
ー子どもの頃はどんな思いで甲子園を見ていたか 牛島 原辰徳さん(神奈川・東海大相模)と杉村繁さん(高知)の打撃がすごかったを覚えています。すごいなと見ていただけで、自分が甲子園とは夢にも思わなかった。 金村 テレビで甲子園を見ていたら、母が感動してもらい泣きしていた。高校野球は素晴らしいというのを知った。 佐々木 牛島さんに憧れた。強気な投球がよかった。現役最後の監督も牛島さんで、お世話になりました。
ー昭和50年代で脚光を浴びたのは「バンビ」の愛称で知られた東邦(愛知)の坂本佳一さん。牛島さんは同学年ですね 牛島 同い年の1年生がどんどん勝って、俺も負けられないと思いましたね。僕らの時代は1年生で出てくる選手が多かった。愛甲猛(横浜)や荒木大輔(東京・早稲田実)。
ー金村さんも荒木さんは意識した 金村 2年の夏にあと一歩で甲子園に行けなかったんですけど、その年の決勝(62回大会)で愛甲さんと1年生の荒木君が対戦した。最後の夏にその両チームとあたるとは思いませんでしたね。2回戦で横浜、3回戦で荒木君。年下の荒木君には負けるわけにはいかないと思っていましたが、点を取られて。奇跡的に九回に追いついて、「逆転の報徳ここにあり」という試合。この3回戦が僕にとっても決勝戦でした。
ーその後、池田(徳島)の「やまびこ打線」、PL学園(大阪)の「KKコンビ」が現れた。桑田真澄さんと清原和博さんは佐々木さんと同学年 佐々木 あの2人はすごかった。でも、このコンビを(1984年秋の)近畿大会で1-0で東洋大姫路(兵庫)が倒した。その姫路に(67回大会3回戦で)あたって、負けるだろうなと思ったら勝っちゃって。でも次の試合で甲西(滋賀)にころってやられちゃったんですよ。
ー「戦いながら成長する」と言われるが、その実感はありますか 牛島 実感しますね。あまり調子がよくなくて、追いついて逆転した後いきなり球が走り出すことがあった。浪商はアンダースローに弱かったんですよ。61回大会の初戦は上尾(埼玉)仁村徹が相手だった。苦戦するんだろうなって。
ー2点を追う九回に牛島さんが同点本塁打を打ったときですね 牛島 それまで3打席凡退だった。僕が打てるのはカーブしかないと待っていたら、本当にカーブが来て打ったら本塁打になった。本塁打は高校通算2本です。あとで仁村に聞いたら「ロージンを触り忘れた。勝負を焦った。あの1球だけが失投だった」と言っていた。
ー金村さんは高3の春が初めて甲子園 金村 春は巨人にドラフト1位で入団した槙原寛己君の大府(愛知)と戦いました。伝統ある報徳ですけど、甲子園の1回戦で負けたことがなかったんですよ。それが1回戦で負けてしまいまして。槙原君の直球がめちゃくちゃ速くて。147㌔でした。奇跡的に本塁打と二塁打とシングルヒットを打ちまして。ひょっとしたら僕は天才打者なんじゃないかと。そしたらあれよあれよと甲子園の優勝投手になれました。
ー兵庫大会から一人で投げ抜いた。疲労は感じなかったのでしょうか 金村 甲子園は魔物がすんでいます。疲れなんてあのマウンドに行ったら忘れさせてくれます。みんな応援してくれているような勘違いに陥ります。
ー佐々木さんの甲子園は 佐々木 僕はけがとの戦いだった。でもマウンドに上がると忘れちゃうんですよね。先のことは考えずにがむしゃらにやっていたなと思いますね。当時はほとんどまっすぐだけでした。同級生に阪神に入団した葛西稔がいたので、葛西には絶対に負けたくないと。彼がいたから成長できた。
ーこの選手すごかったというのは 佐々木 伊野商(高知)の渡辺智男は投手としては別格だったなと思います。桑田とかいましたけど、一番すごかったのは智男かなと思います。
ー高校野球で培ったものは 佐々木 僕は(監督の)竹田利秋先生を信じて3年間やっていた。竹田先生は野球っていうのは人がやるもんだ、人が成長しないと野球も成長しないという考え方でした。
ー牛島さんの監督は、OBで戦後初の大会(28回)を制したときの捕手、広瀬吉治さん 牛島 監督に言われたのは「この日までにベストにしとけ」だけ。あまり技術的なことはなかった。だからマスコミの方に「連続写真を撮ってもらえませんか」ってお願いしていた。
ー今の高校野球をどうみていますか 牛島 体が大きくなっていますよね。特に足が長い。もう少し下半身を使えばけがをしない。高校野球の魅力は何が起きるかわからないところ。やっていけばやっていくほど奥が深い。 金村 プロ野球も素晴らしいですけど、高校野球というのは目に見えない力がすごい。最後の1球まであきらめないというのが、プロとの一番の違いかなと感じています。 佐々木 みんなで一つの試合を勝ち取ったときの喜びお味わえるスポーツ。野球部員も少なってきた。僕らにできるのは高校野球の良さ、野球の良さを子どもたちに伝えていくことだと思っています。

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